地区会長挨拶

地区会長挨拶

地区会長 西尾 幸一郎(山口大学)

 前会長鈴木明子先生の後任として、会長に就任いたしました。これまでの方針を引き継ぎ、微力でありますが本学会の更なる発展を目指し努力していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 SDGsの推進やテクノロジーとの融合、多様な家族構造への対応、消費者教育の拡充など、家庭科教育は、社会が直面する多様な課題に対応するための重要な基盤を提供し、将来の世代がより豊かで持続可能な生活を送るための準備を支援することが求められています。本地区会では、小・中・高等学校等の教育現場の教育が多く参加していることが特徴であり、これまで教育現場の教員と大学等の研究者が実践や研究成果を共有しながら、その時々の教育的課題に対応してきました。今後も実践者と研究者の結びつきを大切にしつつ、さらに充実した取り組みを進めていきたいと考えております。一方、私としては、本地区会のみならず、学会本部が直面している最大の課題は「教員数の減少と組織の弱体化」にあると認識しており、この課題への対応も積極的に進めていく必要があると感じています。
 近年、家庭科の教員不足が深刻な社会問題としてテレビや新聞等でたびたび取り上げられていますが、教員養成課程においても同じように縮小傾向にあり、教員の負担が年々大きくなってきています。家庭科教育の現場は、校種を問わず、これまでよりも脆弱な組織体制のもとで、より高度で複雑な社会的課題に対応していかざるをえない状況にあります。そして、本地区会の運営についてもこれまでと同じようなやり方をしていては継続していくことすら難しくなってきました。日本家庭科教育学会の設立目的である「家庭科教育に関する研究を増強し、併せて会員相互の親睦、向上、連絡をはかる」ためにも、一つひとつの業務や活動を見直し、整理(要・不要を見極める)していくことが急務であると考えます。
 ペーパーレス化(書類の郵送からメール送付への切り替え、クラウドサーバーへのデータ保存など)やオンライン会議の開催、webを活用した会員の合意形成など、会の運営をより効率化、省力化できるような方法があれば、前向きに検討していていくつもりです。今後、家庭科教育に関わる社会情勢がどのように変化したとしても、歴史ある本地区会を末永く継続していくためにはどうすればいいか、会員の皆様とともに考えて参りたいと思います。(2024年3月)